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骨粗鬆症でもインプラントはできる?|成功率94%と顎骨壊死のリスク

「骨粗鬆症と言われたけど、インプラントはできますか?」「骨の薬を使っているけど、歯の治療をして大丈夫?」ご高齢の患者様が増えるなかで、当院でもこうしたご相談が増えています。今回は、骨粗鬆症の方のインプラントはどのくらいうまくいくのか、そして骨の薬を使っている方が気をつけたい「顎骨壊死(がっこつえし)」について解説します。
骨粗鬆症の方のインプラント成功率は約94%
まず一番気になる、インプラントの成功率です。高齢の方のインプラントは、95%以上が問題なく使われていると報告されています。一方で、骨粗鬆症の方のインプラントの長期的な生存率は約94%です。
- 高齢の方全体のインプラント:95%以上
- 骨粗鬆症の方のインプラント:約94%
骨粗鬆症の方でも、高い確率でインプラントは長持ちします。ただし、一般の方と比べるとやや低くなるのも事実です。また、骨粗鬆症の方には次のような傾向も報告されています。
- インプラントの周りの骨が少し減りやすい
- 治療直後、インプラントが骨としっかりくっつくまでの時期に失敗が起こりやすい
そのため、骨粗鬆症の方のインプラントは「できない」ではなく「慎重に計画する」ことが大切です。
骨粗鬆症の方は歯周病が悪化しやすい
インプラントへの影響が比較的小さい一方で、骨粗鬆症は歯周病に大きく影響します。骨粗鬆症の方は歯周病になるリスクが約1.1〜2.6倍高く、骨粗鬆症の女性では重度の歯周病になっている割合が約5倍だったという報告もあります。
特に女性に影響が出やすいのは、閉経によって女性ホルモンが減ると、骨が弱くなりやすいためです。この時期は、全身の骨と一緒に、歯を支える骨も減りやすくなります。
天然の歯は「歯根膜」を介して骨とつながっている一方、インプラントは骨と直接、強固に一体化しています。この違いが、歯周病とインプラントで結果に差が出る理由の一つかもしれません。インプラントを入れる方も、残っているご自身の歯を歯周病から守ることがとても大切です。
骨の薬を使っている方が知っておきたい「顎骨壊死」
骨粗鬆症の治療では、骨が溶けるのを抑えるお薬がよく使われます。代表的なものがビスホスホネート製剤やデノスマブです。これらのお薬は骨を守るとても大切なお薬ですが、「薬剤関連顎骨壊死」という副作用が起こることがあります。あごの骨が露出して、治りにくくなる病気です。
顎骨壊死は、抜歯やインプラント手術など、あごの骨に触れる処置がきっかけで起こることがあります。また、合っていない入れ歯でできた歯ぐきの傷がきっかけになることもあります。
インプラントへの影響
骨の薬を飲んでいる方でも、インプラントの成功率は大きく下がらず、顎骨壊死もまれと報告されています。ただし、点滴や注射で骨の薬を使っている方、お薬の量が多い方は、インプラントが早い時期にダメになったり、顎骨壊死が起こったりするリスクが高くなります。
当院の考え方
頻度はまれでも、顎骨壊死は起こると治りにくい病気です。そのため当院では、骨の薬(特にビスホスホネート製剤)を使っている方へのインプラント治療には慎重な立場をとっています。
ブリッジや入れ歯など、あごの骨に触れる手術をしない方法も含めて検討します。インプラントを選ぶ場合も、お薬の種類・期間・量を確認したうえで、リスクを十分にご説明してから進めます。入れ歯の場合も、傷ができないよう定期的な調整が大切です。
また、骨の薬は骨折を防ぐための大切なお薬です。歯の治療のために自己判断でお薬をやめないでください。必要な場合は、主治医の先生と連携して対応します。
よくあるご質問
Q. 骨粗鬆症だとインプラントはできませんか?
A. 骨粗鬆症だけでインプラントができないということはありません。ただし、成功率はやや下がるため、骨の状態を詳しく調べたうえで慎重に計画します。
Q. 骨の薬を飲んでいます。インプラントはできますか?
A. 当院では慎重に判断しています。お薬の種類や使っている期間によってリスクが変わるため、まずはお薬手帳をお持ちください。インプラント以外の方法も含めて一緒に検討しましょう。
Q. 歯の治療の前に、骨の薬をやめた方がいいですか?
A. ご自身の判断でやめないでください。必要に応じて主治医の先生と相談します。
まとめ
骨粗鬆症の方のインプラント成功率は約94%と高く、骨粗鬆症だけでインプラントをあきらめる必要はありません。一方で、骨の薬を使っている方は、顎骨壊死のリスクを考えて慎重に治療法を選ぶ必要があります。
当院では、米国歯周病・インプラント外科ボード認定専門医が、全身の状態やお薬の内容まで確認したうえで、患者様一人ひとりに合った治療をご提案します。骨粗鬆症で歯の治療にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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参考文献
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文責:藤井貴寛(ふじい たかひろ)
Diplomate of the American Board of Periodontology
アメリカ歯周病・インプラント外科 ボード認定専門医

