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抜歯を最小限に。重度歯周病とインプラント治療を「最短6ヶ月」で両立した症例解説|歯周病患者のインプラント治療

インプラント治療が必要になる患者様の多くは、程度の差はあれ歯周病を抱えています。

歯周病が高度に進行している場合のインプラント治療には、大きく分けて二つの考え方があります。

1. 歯周病の歯は、歯周病原菌ごと抜歯して細菌を減らし、インプラントに置き換える方針
2. 治せる歯は残し、歯周病をコントロールしてからインプラント治療へ進む方針

歯周病菌が多く存在する口腔内にインプラントを埋入すると、インプラントが感染し、将来的に抜け落ちてしまうリスクが高まることが分かっています。方針1の「抜歯してインプラントに置き換えた方が確実」という考え方は、短期的には分かりやすく、治療計画もシンプルです。

しかし当院では、方針2の考え方をもとに、抜歯は最小限にし、残せる歯は歯周病を可能な限り整えてからインプラントへ進む治療設計を行っています。これは歯周病治療を早く確実に、完遂する自信があるからです。

なぜ「歯を残しながらのインプラント」にこだわるのか

歯周病治療は、「時間がかかる」「確実に治すのが難しい」と考えられがちです。しかし、適切な診断と治療設計のもとで行えば、歯周病治療は確実にコントロールすることが可能です。

不要な抜歯を減らすことで、治療の侵襲やコストを抑え、お口全体の噛み合わせのバランス(咬合崩壊の防止)を保てます。そして何より、専門的な治療で歯周病を短期で確実にコントロールでき、歯周病治療のデメリットである「長い治療期間」を克服できると考えているからです。

【症例解説】重度歯周病とインプラントを同時に「早く」完了できた症例

今回、実際に「方針2: 治せる歯は残し、歯周病をコントロールしてからインプラント治療へ進む」で治療を行った症例をご紹介します

歯周病治療とインプラント治療を別々に進めるのではなく、両者を同時に開始することで、最短距離で治療を終えました。

初診時:重度歯周病と歯の破折

左上の後ろから2番目の奥歯(第一大臼歯)が割れ、歯の周りの組織が膿んで歯肉に穴が空いていました。この歯を残すことはできません。一方、レントゲンでは、一番奥の歯(第二大臼歯)に大きな歯石が付着し、歯周ポケットは8mm。骨の半分近くが失われている重度歯周病でした。

治療計画としては、2本抜歯してインプラント治療を行う選択肢も考えられましたが、後方の第二大臼歯は歯周病治療を行って残す方針としました。

下関市のインプラント症例:初診時の重度歯周病と奥歯の破折を示すレントゲン
下関市のインプラント症例:初診時の重度歯周病と奥歯の破折を示す口腔内写真

骨の保存とレーザーによる歯周病治療

レーザーを使用して歯肉を大きく切開することなく第二大臼歯の歯石を取り除き、レーザーで溶けた骨の回復を促しました。抜歯の必要な第一大臼歯は、割れた線に沿って周囲の骨が溶けており、単純な抜歯を行うとインプラントを入れる骨がうしなわれる状態でした。抜歯後に歯を抜いた穴には骨の材料を入れ、メンブレンでフタをすることで、吸収を抑えるリッジプリザベーションという処置を行いました。

下関での低侵襲インプラント治療:抜歯後の骨保存術(ARP)とレーザーによる歯周病治療(LANAP)の経過

骨補填材を抜歯した穴へ入れています。これにより骨がしぼむことを防ぎます。

下関での低侵襲インプラント治療:頬側骨の吸収に対し、dPTFE メンブレンを使用し上皮の陥入を排除したARP

術直後。難度は高かったですが、メスを使うことなく手術を終了。

フラップを起こさないリッジプリザベーション(ARP)による術後1日経過。

術後1日後。低侵襲な手術なため、1日で歯肉が落ち着き、膿の出ていた穴も、すでに肉眼では塞がっています。

術後 3ヶ月後。骨がしっかりできていますので、もとの歯の形に近くなる太いインプラントを入れられます。また、8mmあった深い歯周ポケットが3mmと浅くなっており、歯周病は治癒したといえます。

侵襲なインプラント埋入手術

骨の治癒を待ったのち、インプラントを埋入。今回は「グラフトレス・オステオトーム」という、上顎洞(鼻の横の空洞)の骨を押し上げるテクニックを用いることで骨移植を避け、身体への負担、無駄な出費を軽減しました。

下関の歯科医院によるインプラント手術:グラフトレス・オステオトーム法により上顎洞挙上
下関の歯科医院によるインプラント手術:グラフトレス・オステオトーム法を用いた低侵襲な埋入レントゲン写真

最小限の切開でダメージを最小限におさえてインプラントを設置。

最短期間での治療の完了

最終的な補綴物(被せ物)を装着した状態です。8mmあった歯周ポケットは正常値の3mmへと治癒し、抜歯と手術回数を最小限に抑えながら、歯周病を治し、しっかり噛める状態を回復しました。

下関・北九州エリアのインプラント治療完了例:歯周病を改善し最短6ヶ月で審美性と機能を回復したレントゲン写真
下関・北九州エリアのインプラント治療完了例:歯周病を改善し最短6ヶ月で審美性と機能を回復した口腔内写真

本症例における手術のポイント

  • 通常1年程度かかる治療を、約半年で完了
  • 本来3〜4回に分けて行う外科処置を、2回で完結
  • 切開を最小限に抑え、歯周ポケットを確実に改善
  • 抜歯を1本に抑えることで、治療期間中も残した歯で噛める状態を維持

まとめ:下関・北九州でインプラント・歯周病にお悩みの方へ

歯周病があるからといって、必ずしもすべての歯を諦める必要はありません。治療の順番と設計を工夫することで、治療期間や負担を抑えながら、最善のインプラント治療を受けることが可能です。

「自分の歯を残したい」「でもインプラントもしっかり行いたい」という方は、ぜひ一度当院までご相談ください。

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文責:藤井貴寛(ふじい たかひろ)
Diplomate of the American Board of Periodontology
アメリカ歯周病・インプラント外科 ボード認定専門医

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