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台湾歯周病学会に参加 │ 都市部の歯科文化


台湾・台北で開催された台湾歯周病学会に、学会の国際交流委員として参加してきました。講演はすべて英語で進行し、通訳なしで3日間行われるスタイルで、台湾の歯科医師の高い英語力と学術への意欲を改めて実感しました。台北のような大都市では、「費用と時間をかけてでも歯を残したい」という患者さんが多く、そのニーズが臨床・学術の両面に強く反映されている印象です。
今回の学会では、重度歯周病に対する骨再生療法について、材料を使わず患者さん自身の血液だけで骨再生を促す新しいアプローチが報告されていました。欧米の文献でも、血液由来の成長因子のみを活用した再生療法の報告が増えており、台湾でも同じ流れが臨床レベルに導入されつつあると感じました。再生療法のコストを抑えながら治療の選択肢を広げられる可能性があり、当院での臨床にも応用できるヒントを多く得ることができました。

米国でも存在感を放つ台湾人歯科医師
米国留学中、私の周りには台湾出身の歯科医師が多くいました。歯周病学の分野では、ミシガン大学の Dr. Hom-Lay Wang をはじめ、台湾人の先生方が国際学会や論文の世界で大きな存在感を放っています。友人から聞いたところによると、台湾の歯学部は医学部並みに入学難易度が高いと言われており、学力の高い学生が歯科に進む傾向があるそうです。
さらに、台湾の歯学部では教科書に英語圏のテキストが多く用いられ、欧米型の教育体系とズレが少ないと言われています。そのため、最新の国際的なエビデンスをそのまま取り入れやすく、英語での発表やディスカッションにも慣れている印象でした。今回の学会でも、質疑応答を含めて英語だけで議論が進んでいく様子を目の当たりにし、「国際水準の教育環境」が台湾の歯科医療を支えていると改めて感じました。
台北の街で見た「高度治療を前面に出す」歯科医院
台北市内を歩いていると、歯科医院の看板がとても多く目に入ります。しかも、その内容が日本と大きく異なります。看板には、私たちから見ると日本では自費診療レベルの高度な治療が、一般向けにわかりやすく掲げられていました。

例えば、看板に書かれていた文言を日本語にすると次のようになります。
・缺牙重建:欠損歯の再建(失った歯の補綴・インプラントなど)
・雷射牙周:レーザー歯周治療
・All on 4/6 一日植牙:All-on-4 / All-on-6 による即日インプラント治療
・顯微根管:マイクロスコープ根管治療
・美學貼片:審美べニア(ラミネートベニア)
このように、インプラント、歯周再生、マイクロスコープによる精密根管治療、審美治療といった専門性の高い内容が、一般の患者さんにも分かる形で前面に出されています。都市部では「高度な治療を求める患者さん」が多く、そのニーズに応える形で歯科医院側も専門性を打ち出しているのだと感じました。
学会で得た知見を、日々の診療に還元します
今回の台湾歯周病学会では、重度歯周病に対する骨再生療法の最新動向や、生体材料を使わない再生療法など、日常臨床にも直結するヒントを数多く得ることができました。また、台湾の歯科医師の高い教育水準や、都市部の患者さんの治療ニーズの高さも肌で感じることができ、非常に刺激的な経験でした。
当院でも、国際学会や海外文献から得た最新のエビデンスを継続的にアップデートし、「患者さんが長くしっかり噛める状態を保つこと」をゴールに、歯周病治療・再生療法・インプラント治療の質を高めていきたいと考えています。今後も海外での学びを、そのまま日々の診療に落とし込み、下関のみなさまに国際水準の歯科医療を提供できるよう努めてまいります。

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▶ 当院の歯周病治療について|アメリカ歯周病インプラント外科専門医による診察
文責:藤井貴寛(ふじい たかひろ)
Diplomate of the American Board of Periodontology
アメリカ歯周病・インプラント外科 ボード認定専門医
