COLUMN

カリフォルニア開業専門医の講演への参加

先日、福岡で開催されたアメリカ歯周病専門医ケピック先生の勉強会に出席してきました。 多くの歯周病専門医の先生方が参加されており、講演内容は「論文の知識を診療に落とし込み、いかに成果を出してきたか」に焦点を当てたものとなっていました。

講演は20名ほど参加で、驚いたのですが、通訳なしの英語のみで行われました。聴衆は海外学会に積極的に参加されてる先生が多く、慣れているだろうという開催側の判断でしょう。歯周病を極めようとすると留学しないにしても、ある程度は英語が必要なのだな、と感じました。

ケピック先生は私と同じボード認定の専門医であり、インディアナ大学の名高いOBの一人です。また、カリフォルニアにて長年にわたり歯周病専門医院を開業されています。米国は専門医制が発達しており、歯周病専門は一般歯科医院から歯周病治療、インプラント治療の依頼を受けて、専門治療のみを行います。ケピック先生の医院も専門医院であり、相当な数の歯周病治療・インプラント治療をこなしてきたはずです。患者様の中にはピーター・ドラッカー氏のような著名な方もおり、医院運営に関する辛口アドバイスをされることもあったそうです。「「歯科医師は無駄なガジェットを買いすぎではないか?それらは果たして治療結果につながるのか?治療のゴールに影響するのか?」など、鋭い指摘があったと話されていました。

そのためか、ケピック先生は医院のコンセプトを明確にしていたようで、

  1. メンテナンスで定期通院されてる患者様の歯を、可能な限り長く残すこと
  2. 歯が残せずにインプラントで置き換える場合は、無理やりすぐに噛める状態を目指すより、長期間使用できる環境を整えること

という2つの目標をかかげて、成功されていたようです。

1つ目の歯を残す、というのは日本でもよく聞きますが、具体的にどの検査を行うのか、検査数値をどのように解釈するのか、といったところに専門医の価値があります。簡単にいってしまうと、メンテナンスの患者様へは、どの段階で歯周病の再発を宣言して再治療を提案するか、ということです。

大学院の恩師ということもあり、ケピック先生の講演内容は、当院の治療方針とも一致していました。自分のルーツに近い方の講演を聞くことで、改めて自分自身の治療方針を見直す機会となりました。当院ではこれからも、知識のアップデートにつとめ、米国歯周病専門医プログラムの教育方針に沿った治療を提供します。

文責:藤井貴寛(ふじい たかひろ)
Diplomate of the American Board of Periodontology
アメリカ歯周病・インプラント外科 ボード認定専門医

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