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親知らずは“今”抜くべき?放置すると再生療法やインプラントが必要になる理由

「親知らず、抜いた方がいいんですか?」
これは、日々の診療で非常によくいただくご質問です。
もちろんすべての親知らずを抜くべきではありませんが、倒れて7番(第二大臼歯)に当たっているタイプの水平埋伏智歯は、“早めの抜歯”が大原則です。
理由は明確で、時間が経てば経つほど、隣の歯の骨が吸収されてしまい、抜歯後に「再生療法」を行わないと、隣の歯の歯周病が治らなくなる可能性が高くなるからです。この記事では歯周病治療を多く行なってきた筆者が、米国歯周病専門医からの見解をお伝えします。
レントゲンに見られるリスクのサイン
実際のレントゲンでは、以下のような所見がしばしば見られます:
- 7番の歯の遠心に垂直性の骨吸収
- 深い歯周ポケットの形成
- 根面う蝕(根元の虫歯)
- 慢性炎症による骨の破壊
こうなると、親知らずだけでなく、その手前の健康な歯まで巻き添えでダメになってしまう可能性があります。

レントゲン画像では「★ 親知らず (第三大臼歯)」のために食べ物のカスや、細菌の塊であるプラークのために炎症が起き、隣り合った「● 第二大臼歯」の骨も溶けてしまっています。

「★ 親知らず (第三大臼歯)」を抜いて1年後ですが、「● 第二大臼歯」の奥の骨が溶け、深い歯周ポケットが残ってしまいました。継続的に骨が溶けていき抜歯になることが予想されます。治療の選択肢として、外科的な歯周病治療でかろうじて救えるかもしれない、ただし最悪、抜歯からインプラントを薦めなければならないこともあります。
親知らずの放置が、将来の抜歯・インプラント治療につながる理由
実際に臨床でよく見るのが、「親知らずを抜かなかった結果、7番(第二大臼歯)が救えなくなるケース」です。親知らずが原因で生じた深い骨欠損や歯周ポケットは、再生療法を行っても完全に回復しないことがあります。その結果、
- 炎症がコントロールできない
- 骨吸収が進行する
- 最終的に7番(第二大臼歯)も抜歯になる
という経過をたどることも少なくありません。そして7番を失うと、奥歯で噛む機能を回復するために、インプラント治療が必要になるケースが多いのが現実です。
つまり、「親知らずを今抜かなかった」ことが、将来のインプラント治療につながってしまうという因果関係が、実際の臨床では起きています。
アメリカの歯周病科ではこのような症例には遭遇しなかった
筆者が米国で歯周病治療に従事していた際、「親知らずを放置したことで、7番だけが垂直性に骨吸収している」といった症例に出会うことは、ほとんどありませんでした。アメリカでは、親知らずは20〜30代のうちに予防的に抜歯されることが多く、こうした症例がそもそも起きにくいのです。
一方、日本ではこのようなケースが圧倒的に多いと感じます。
その背景には、
- 矯正治療を受ける人が少なく、矯正前の抜歯が行われない
- 歯周病治療の経験が乏しく、抜かなくても良いと判断してしまう歯科医師の存在
- 「抜かなくて大丈夫」と言われて安心してしまう患者さんの心理
- 親知らずの抜歯に対する強い忌避感
- 治療費が比較的安価なため、歯科治療への意識が低い傾向
などがあり、「痛くなってから考える」という選択になりがちです。
「年を取ったら親知らずは腫れない」は誤解です
かつて山口大学口腔外科で私の指導医だった先生が、103歳の方の親知らずから膿が止まらず、やむなく抜歯したという話をされていました。「もう歳だから腫れたりはしないでしょ」と思われる方もいますが、細菌は年齢を考慮してくれません。
高齢者にとっての智歯感染は、全身状態を一気に悪化させることもあり、命に関わることさえあるのです。>「今は症状がないから安心」という考え方は、むしろ危険と考えます。
神経麻痺のリスクを理由に抜歯を避け続けると…
もちろん、親知らずが下顎管(神経)に近い位置にある場合、抜歯による神経麻痺のリスクは存在します。
しかし、それを理由に抜歯を先延ばしにし続けた結果、より深刻な問題が起きるリスクの方が現実には高いのです。
親知らずは、若いうちに抜くほどトラブルが少なく、治りも早い。
これは多くの歯科医師が共通して感じている事実です。
まとめ:親知らずの抜歯は、将来への投資
- 早めに抜けば、再生療法・インプラントが不要で済む可能性が高い
- 隣の歯を虫歯・歯周病から守れる
- 高齢期のリスクを避けられる
親知らずが気になっている方、過去に抜歯を見送った方は、ぜひ一度、レントゲンとCTによる専門的な診断をおすすめします。「今は困っていない」親知らずこそ、将来のトラブルを防ぐために、早めの判断が重要になることがあります。
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当院のインプラント治療について|アメリカ歯周病インプラント外科専門医による診察
文責:藤井貴寛(ふじい たかひろ)
Diplomate of the American Board of Periodontology
アメリカ歯周病・インプラント外科 ボード認定専門医
