COLUMN

「歯を守る意識」に地域差がある?┃アメリカ・東京・下関で感じた歯科への意識の違い

日本で歯科医院を開業していると、同じ国内でも患者さんの歯に対する意識には地域ごとの特色があると感じることがあります。実はこれは、海外でも似た傾向があります。私が研修を受けたアメリカ・インディアナ州、勤務経験のある東京、そして現在診療している下関――それぞれの地域で、歯科治療の受け止め方に違いが見られます。

アメリカ・インディアナ州で感じた「歯を大切にする文化」

私はアメリカ・インディアナ州で歯周病・インプラント治療の専門研修を受けてきました。インディアナ州はニューヨークやロサンゼルスといった大都市とは異なり、どちらかといえば日本でいう地方都市――山口県にも通じるようなエリアです。

印象的だったのは、そのような地域でも歯の健康への意識がとても高かったということです。若いうちから定期検診を受けるのが習慣化されており、「歯を失う前に守る」という考え方が文化として根づいている印象を受けました。保険制度の違いもありますが、歯にかける時間や費用に対する考え方は非常に前向きでした。

東京では「入れ歯」が選ばれにくい?

日本国内でも地域ごとの違いは興味深いものです。たとえば、東京で開業している友人の歯科医師は「開業以来、入れ歯の製作はほとんどないと話していました。高齢の方でも入れ歯は避けてインプラントやブリッジを選ぶ方が多く、見た目や機能を重視する傾向があるようです。

実際に私が東京で外科治療を担当しているときに痛感するのが、患者さんの口腔内はとても清潔で、定期的なメインテナンスが行き届いているということです。「治す」より「守る」意識が強く、見た目の美しさや快適さに敏感な方が多いように感じます。ただし、歯の被せ物は良くても歯周病が治療されていないということがあり治療のレベルは変わらないとも感じます。

歯科医師としての葛藤と、地方で目指す医療

歯科医師としては、どの地域にも変わらぬ質の医療を届けたいという想いがあります。地域によって少しずつ治療に対する姿勢や口腔内の状態に違いが見られることもありますが、それはあくまで背景や習慣の違いにすぎません。

私はこれまでの経験から、教育環境や医療に対する情報量の差が、行動や選択に影響を与えることがあると感じています。歯科医療の分野でも、それが患者さんの選択に表れることがあります。

だからこそ私は、地域を問わず、世界水準の治療を提供し続けたいと考えています。歯科医療の選択肢を広げ、より多くの方が納得のいく治療を受けられるよう、今後も努力を重ねてまいります。

文責:藤井貴寛(ふじい たかひろ)
Diplomate of the American Board of Periodontology
アメリカ歯周病・インプラント外科 ボード認定専門医

TOP